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どうする!休日の鎌倉の交通渋滞

 一週間ほど前に鎌倉市が主催して、タイトルのようなシンポジウムを商工会議所ホールで開いた。11月27日の「住んでよく、訪れてよい鎌倉のまちづくり」ワークショップに関係があるので、聴きに行った。

 最初に埼玉大の久保田尚教授の「交通まちづくりの展開」と題する講演があり、続いて鎌倉の交通問題に関心のある作家や僧侶、元デンマーク大使館員と久保田教授らによるパネルディスカッションがあった。

 前市長時代に封印されていた交通需要管理政策の、特にロードプライシング手法による鎌倉の車交通のコントロールの可能性を探るのが、大きな狙いの集りだった。 休日の都心に近い住宅地の細かい道にも車が入りこみ渋滞の長い列ができてしまう異常な事態を、市民はみな何とかしてほしいと思っていたところなので、タイミングよい催しであった。

 狭く折れ曲がりの多い歴史的なまちの交通問題を解決するには、交通需要の方をうまくコントロールするしかないことは、このブログでも機会があるたびに指摘してきたことだが、わが国で未だ実施されたことのないロードプライシングをこの鎌倉で実現するには、周到な計画・試行が必要だと思う。

  鎌倉の古都景観では、若宮大路などから街の周りの山並みを見られることが大切であるが、そうした観点からいうと、現在多くのコインパーキングが若宮大路や長谷大佛への道にあることは、それに寄与しているとも言える。しかもそれらは営業的にも成立っている。かつて商工会議所の会頭は、車で来る客が鎌倉の店の売り上げに寄与している、と言った。安くはない駐車料金を物ともせず、高い買い物や飲み食いをする客を有難がるのは、我々貧乏市民には抵抗感ある発言とも言えるが、観光経済に頼る鎌倉では冷静に受け止める必要のある意見である。今はやりの「ブランド力を高める」という考え方も、実はあまり変わりない発想のような気もする。

すると、この資本主義時代の観光商業の中で、ペイして税金も払えているオープンスペースの存在は貴重だ! 中心部の駐車場が撲滅され、その跡にビルが建ち並んでしまったら折角の鎌倉の山の景観が街中から失われる、それは一寸マズイのでは?という考えが出てくる。

私たちのこの時代のまちづくりでは、地権者の利益に反する施策は必ず大きな抵抗を生み、立ち往生してしまう。

 

そこで、細かく微妙な問題の処理までプログラムできる時代になったのだから、弱者や高額料金負担のできる人には、至近の駐車場も提供するような鎌倉独自のロードプライシングのシステムを探求してもよいのではないか。都心部への全面的な流入禁止には今でも抵抗が大きい。ロードプライシングは流入車に課金することで不要な流入を抑制しようという手法であるので、今ある駐車容量ぐらいの流入受け入れは前提としても、コントロールしたい全体流入量にそう影響せず、処理可能だろう。そうすれば商業者や駐車場事業者と手を組むことも可能で、このシンポジウムの副題「地域の活性化につながる交通政策を考える」に通じて行く。そのような上手い交通需要管理の施策が見えてくるのではないか?という気がしてくる。

 久保田教授が講演で紹介された、白川郷での車の駐車場への誘導の仕方は、上述のような鎌倉の実情に合うロードプライシングも可能ではないか、と感じさせるものであった。  じつは上のような勝手な自論は、ここで紹介しようとした久保田教授の講演資料の話の前置きだった。

 教授が示された資料で興味深かったのは、鎌倉市の状況を小樽函館、日光、金沢、高山、白川村、川越、箱根町、奈良、京都、神戸、湯布院町(町時代のデータによる)、長崎などの、観光客のよく来るまちと比較した「住民一人あたり年間入込客数」と、「域面積あたり年間入込客数」の数字であった。  まず「住民一人あたり入込客数」では鎌倉が110人であるのに対し上に挙げたまちの順に数字を並べてみると、小樽市の60人にはじまり、19人、351人、14人、48人、662人、12人、1246人、36人、28人、17人、331人ときて12人という長崎市の数字で終わる。

 数字が百人を超えるまちは日光市、白川村、鎌倉市、箱根町、湯布院町であるが、鎌倉に比べ数倍から十数倍多いこれらのまちは観光に頼るところがとても多く、まちとしても望ましいという空気が多い。それに対し鎌倉市の場合は観光客に無関係に暮らす住民も多いがその割にこの数字が大きく、市としては悩ましい数字である。というのが久保田教授の診立てであった。

  鎌倉市に比べ低い数字のまちでは、金沢や奈良、京都、神戸、長崎などのまちは県庁所在地であり、函館市や川越市の場合は観光以外に頼る他産業があり、母数人口も大きく、また入込客数も鎌倉に比べて少ない。 人口が鎌倉市より少ない小樽や高山市の場合は、それぞれ890万と320万という数字の入込客数であり、数字そのものが小さい。これらのまちに比べると、人口が16万人そこそこの鎌倉市を訪れる観光客が年間1800万人を超すという状況は、観光以外の産業に従事する市民も多い総合的機能を持つまちとしては、観光入込客数が非常に大きいまちなのだと知る必要がある。

  次に「市域面積あたり年間入込客数」の数字を前と同じように順に並べてみると、面積1平方㎞あたりが3.67万人、1.53万人、1.9万人、1.35万人、2.32万人、4千人、3.52万人、46.59万人(鎌倉市)、20.51万人(箱根町)、6.27万人、6.64万人(京都市)、8.14万人(神戸市)、3万人、2.09万人となって、鎌倉が断然1位であり、箱根がそれに続いていることが分かる。 まちの名を示した京都と神戸の場合は、入込客数が夫々4500万人、2520万人と多いが市域面積そのものも610平方㎞、309平方㎞と大きい。鎌倉の市域面積は39.6平方㎞しかない。箱根の場合でも92.8平方㎞の域面積がある。 要するに、狭いまちに非常に大勢の観光客が訪れて来るのである。しかもそのほとんどが、世界遺産候補となっている鎌倉駅周辺の地域に集中するのである。 

 交通需要管理のあらゆる手法を適用して、住民のために観光圧力を取り除く努力が求められるまちなのである。自動車交通の禍ばかりでなく、近頃は江ノ電の混み過ぎも住民を悩ませている。バス利用の向上にも目を向ける必要がある。パネリストのリンドブラッド氏提案の全区間一律料金などもバス運行効率化の現実的な案であり、検討した方がよい。

 それから、狭い範囲に魅力的な観光資源が集中しているということは、歩行が移動の最も有効な手段となるので歩く環境の整備に知恵を集め、「鎌倉は歩く所」と薦められる所にしていかなければならない。 「鎌倉の交通は歩行を基本とする」というのは、もう10年近く前に、市民が市の総合計画づくりで提案したことである。大体その方が、市民にも訪問者にも「身体によく」、「省エネ実践」になるのだ。
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まちもり

「道が込む休日は、よその人が鎌倉をどうぞお使いください、住民は平日に道を使いますので、」と、鎌倉住まいが年季の入った人は言うけど、新住民ほど鎌倉の道の渋滞を何とかせいと声高に言う、そんなことを前に誰かかからから聞きましたが、わたしの経験的にもその通りですね。
by まちもり (2011-10-29 23:19) 

山上楽雄

 このシンポジウムで久保田教授以下が探っている鎌倉の交通問題解決は、交通需要を管理(時間的に分散したり、来ないで済む車は他所を通ってもらう)し、入って来て動く車の数を減らす方法です。おっしゃる鎌倉人の対処もその一つです。極論すると渋滞させっぱなしで「鎌倉は混むから近付かない」と思わせるのも一方法で現にその認識は拡がっています。先日短時間D.キ―ン氏と話しましたが、彼は「道を広げる解決はしてはいけない」(多分車は無ければよい、という考え)と言い、traffic demand control で対処するしかないとの考えにうなずいていました。今はナヴィの発達で、抜け道を探し狭い住宅地内にも入ってくる車を撃退する必要があります。
 うまい交通規制の工夫を考える必要があります。
by 山上楽雄 (2011-10-31 02:55) 

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