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第六回ワークショップ-鎌倉の趣(おもむき)と理(ことわり)―

 御用納めの日になってしまった、1118日に開かれたワークショップの報告を載せておこう。報告書が未だ編集中なので、総括の部分から引いて記す。

これまで、ワークショップのテーマは、「世界遺産に鎌倉を」、「みんなで考える世界遺産おすすめルート」、「どう守る私たちの世界遺産」、「鎌倉の世界遺産登録へのまなざし」、「住んでよく、訪れてよい鎌倉のまちづくり」 と来て、今回の「鎌倉の趣(おもむき)と理(ことわり)」に関する話合いに至った。

はじめのワークショップでは、人々の鎌倉に関する感覚や意見がさまざまに語られ、その後に向けての貴重な蓄えが得られた。二回目で、みなが抱く周囲の自然環境への思いの深さを知ることができた。

三回目にはレイヤーの読み方もみなに理解され、歴史の町の文化資産を守るため、学びや近隣の大切さなどが指摘された。まなざしを語り合う頃には、行政側の視点も丘陵部に注がれるようになって、市民の目線と一致してきた。鎌倉の価値や本質が掴めてきた、と言えよう。

第五回は「まちづくり」がテーマとなり、交通・情報・まちの姿などに関し、話が活発に進んだ。そこでは武家の古都というが、実質のコミュニティは寺社を核に作られてきたという指摘も得られた。

意見シートを見て

今回はA「山・海とまち」、B観光と住生活」、C「文化都市をめざす」という 3テーマを設定し、そのどれか一つを論じるテーブルを用意した。各テーブルで記された意見シートの中では、以下のような書き込みに共感した。

「街と緑の調和/それぞれの家の手入れ」、「植物にとって良いまち./在来種を中心に考える」、「緑を守るために団体を繋ぐ」、「観光資源多い/鎌倉らしさ」、「新しいものと古いものが混在」、「作りものがあっては×」、「山・海はパッケージ/中世から変っていない」、「何が本物か/海・山・積み重なってきた歴史」、「まち・世界遺産、住んで居続ける」、「思い切った提案が必要」、「観光の基本は歩いて」、「鎌倉市、若い人が増えている」、「観光会社へのアピール」、「JRの地下化はよくない」、「昼は賑やか、夜は静か」、「車の入場制限」、「各地区でタウンミーティング」、「宿泊施設を増やす」、「鎌倉に住むプライド、余裕」、「歴史文化都市と経済都市が融合している鎌倉市、独自な方法で考える必要がある」、「武家の古都に限らず多重な文化価値の魅力を認識する」、「先を考え、次世代に定着する仕掛けづくり、可能なのは余裕がある人、若い人?空き家に若い世代に入ってもらう」、「国宝館→事業仕分け・・・図書館も・・・町の文化が失われていく」、「行政をムチ打ってきた住民運動の歴史」、「文学・民俗・・・分断され総合的になっていない」、などの発言である。

今回のワークショップへの期待

今回のワークショップでは、これまでの積み重ねの上に今後の鎌倉の方向性が窺える考え方が出てくることを期待した。

鎌倉のこの種の催しでは、どうしても平均年齢が高くなってしまうので、テーブル進行役に若い陣容を揃え、アドヴァイザーも木下・赤川両先生という気鋭の方たちに決った。

秋の催しが多いため参加者も減ると予想されたので、従来はコメンテーターやゲストに招いた識者にもテーブルに着いてもらうようにもした。

テーブルにアドヴァイザー役の方たちも加わった熱い話し合いは、いつもながらの時間不足の結果となり、消化不良のテーブルも多かったであろう。

Aの「山・海とまち」のテーブルで、「思い切った提案が必要」とあったが、これは鎌倉の津波防災の話に関する話で、国道134号に蓋をしてその上に緑の堤を築く、というあり得る提案であった。

当日は「海が見えなくなってしまう」という反対もあった。もとより、国道の沖への移設も必要になる大土木工事である。千年に一度の津波をはね返すような大構想の実現は、鎌倉市単独でとても無理で次世代にわたり判断していくべきことである。

ところで、昨年訪れた松島の町は前面の島々のおかげで被害が少なかった。東京湾の八景島が埋立事業の一環で造られた新しい島だが、一つだけでも多大な費用がかかる。

鎌倉の前面に、減災のためだけに多くの島を造るのは、費用がかかりすぎる、となるだろう。防潮も減災も大工事が必要で海の景色は変わってしまう。いまは昔の景観が残ると言って、世界遺産に推薦されている町でもある。

いまのところ、千年に一度の大津波には「逃げるにしかず」 が鎌倉市の減災の方針である。さてと、大提案に偏ってはいけないので、先ほど挙げた書き込みに戻る。

中で、「昼は賑やか、夜は静か」、「各地区でタウンミーティング」、「宿泊施設を増やす」などに、ソフトな手法で歴史の町を生かして行こうという思いが見られ、今後の鎌倉のあり方のヒントになるように思われた。タウンミーティングを各地で重ねていけば、地区ごとのまちの姿も見えてきて、赤川准教授が言われたソーシャル・キャピタルの蓄積にもなる。

赤川先生のソーシャル・キャピタルの話に関して、宮田一雄さんが「対話が生み出す社会資本」と題し感想をビジネスアイ紙に載せてくれた。ワークショップの積み重ねも、鎌倉に社会資本をもたらしただろうという話で、「鎌倉で時間の流れを少しゆるめ、待っているのもまた、悪いことばかりではなさそうだ」と結ぶ記事であった。

こういう対話を重ねて行けば、観光も夜を賑やかにするばかりでなく、「昼は賑やかだが夜は静かな」歴史の町の宿泊を喜ぶ人々を増やす可能性も考えられる。

十月にあった女性円卓会議で「宿泊施設を増やす」に関し、住み手が無くなる家屋を生かした小さな宿が喜ばれている話があった。歴史都市・鎌倉を持続させていく智慧である。この会議には、北鎌倉たからの庭やカジュアートスペースを主宰し文化活動の場を提供している女性たちが参加して、そうした情報が伝えられた。

今回のワークショップでは、鎌倉の文化を扱うCテーブルはAやBのテーブルに出てくる話も包含することもあり得る、という想いから設けられたのだが、やはり文化の範囲は広かった。時間に追われてしまって、文化都市をめざす鎌倉について、とても全ては語り切れなかったようだ。

関心のある人を多く集めて、時間を十分に使える対話の場を用意することが必要なのだろう。しかし、Cテーブルからの報告内容は、限定的な条件の下で文化都市に向う貴重な示唆をいろいろ提供してくれた。

文化資源学専攻の木下教授が最終コメントで話された、「鎌倉時代の小型馬を飼ってみたら」、という提案も新鮮であった。

鎌倉の歴史まちづくりに向けて

AテーブルやBテーブルからの報告も、話し合いの様子がよく伝わるものとなりそうである。「次世代に定着する仕掛けづくり、可能なのは余裕ある人、若い人」 という書き込みから言えば、ワークショップ進行を担った諸君や女性円卓会議に出演した若い人たちに、まず期待したいと思う。なお、書き込みは木下教授の発言を写したものだったようである。

最後に感想を言えば、六回のワークショップで、鎌倉のまちづくりへの知見を得る目標はほぼ叶った。その成果は、深沢の新市街づくりのためのガイドライン策定などにも大いに役立ってくるだろう。


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